チョーセンジン嫌い

「数年前、常務に昇進して“高卒で初の重役”といわれたころは、“この役職が会社がくれる最後のプレゼント”と思いました。でも今は副社長にまで昇進したから、世界の洗濯機市場1位達成を目指し、いっそう責任の重さを感じます」

 18 日に行われたLG電子の人事で、趙成珍(チョ・ソンジン)洗濯機事業部長(50)の昇進が大変な注目を浴びている。ソウル竜山工業高校を卒業、1976年にLG電子(当時は金星)に入社した彼が、今回の人事で常務から副社長に登用されたため。LG電子で高卒副社長が誕生するのは初めてだ。

 趙副社長は今年まで30年間、ひたすら洗濯機設計・開発に全力を注いできた「洗濯機専門家」だ。洗濯機普及率がまだ1%にもならなかった1970年代中盤、彼は竜山工業高校を卒業、洗濯機設計者として入社した。在学時の「高校生・趙成珍」は産学奨学生として金星と出合った。大企業の社員になった彼は、初めの 1年間、1日18時間という設計教育を受け、その後洗濯機設計を志願した。当時、洗濯機は韓国内に技術がなく、誰もが避けていた分野だった。

 「初めの十数年間は日本の技術をまねるのに必死でした。頻繁に日本に行き、日本人に酒をおごったりして生産ラインを見学しました。今まで日本に行った回数は150回以上です」

 しかし90年代初め、洗濯機研究室長だった彼は「洗濯機技術独立」を決心した。工場2階にベッドや台所を備えつけ、開発チームの同僚たちと合宿したのだ。ついに1999年、「脱日本」の夢をつかんだ。洗濯槽とモーターをベルトでつなぐ代わりに、モーターが直接、洗濯槽を回すことでエネルギー効率を高めるなどの長所がある「ダイレクトドライブ(DD)システム」を日本より先に開発したのだ。

 趙副社長は「最近は売上高・生産台数など、数字とにらめっこばかりしていて頭が痛い。新製品を構想し、設計していた時代の方がはるかに楽しかった」と話す。「副社長昇進もうれしいが、今後も洗濯機を担当できることの方がうれしい」と笑う。「他の事業部に辞令が出る可能性もある」といううわさを耳にしていたからだ。

 「役員昇進後の人生はオマケだと思っている。2009年までにLG電子を世界の洗濯機市場でトップにするのが今の最大の目標」と抱負を語った。LG電子は現在、世界洗濯機市場(全体で7000万台前後)でシェア13%。ワールプール(18%)とエレクトロラックス(15%)に続き3位となっている。

朝鮮日報朝鮮日報JNS