元祖のぞみ「300系」引退へ 東海道、後継におされ4年後に

 東海道新幹線に平成4年3月デビューした「300系」車両が4年後の平成23年度内に東京−新大阪間から“引退”する方向になった。最高時速270キロ。東海道新幹線開業以来の初のフルモデルチェンジで、同区間の所要時間を現在と同じ2時間半で走行する「高速新幹線」の先駆けとなったが、JR東海が今年7月に登場した新型「N700系」の追加投入を決めたため、リタイアを余儀なくされる。

 「300系」はアルミニウム合金を初めて車体に使用し、従来の100系に比べ約25%の軽量化に成功し、今では主流となったVVVF(可変電圧可変周波数)制御方式と交流誘導電動機の導入などで飛躍的に性能が向上したことで、東京−新大阪間の所要時間を19分短縮。飛行機との競争に勝てるとされた「2時間半」を実現し、「ひかり」「こだま」に次ぐ「のぞみ」の名称が「300系」につけられた。 「極めて革新的な車両だった。高速化に加えて環境に配慮した第二世代の幕開けといわれ、今のN700系もすべてここから始まった」。300系の開発に携わったJR東海車両課の鳥居昭彦担当課長はそう解説する。

 東海道新幹線は、カーブが多く、最高時速が270キロに設定されているため、9年11月にJR西日本が開発した最高時速300キロの「500系」が投入されてからも所要時間は変わらず。曲線区間を減速せずに走行できる車体傾斜システムを導入したN700系の登場で2時間25分となり、15年ぶりに5分短縮した。

 東海、西日本両社はN700系を東海道・山陽新幹線で21〜23年度に42編成追加し、計96編成とするなど、本格投入することを決めた。東京−新大阪間を走る最速の「のぞみ」は臨時便を除きすべて同系となる予定だ。「乗り心地を向上させたり、完全分煙化など乗客の評判が良い」(JR東海)というのが理由だが、所有車種を同系と700系に絞ることでメンテナンス費用を抑える狙いもあるとみられる。

 このあおりで、「高速新幹線」の先駆けだった300系は「淘汰される」(東海の松本正之社長)ことになった。

 一方、山陽新幹線(新大阪−博多間)については、「300系、500系については全体の車両計画の中で検討している段階」(西日本)。山陽区間では今も岡山−広島間などで初代の0系や後継の100系が内装や外板を取り換えるなどして運行されているが、少なくとも現在わずか6編成の0系は、N700系に押し出される形で“完全引退”となりそうだ。

デビューしたのが自分が中2のとき。登場して15年してもう引退ですか?N700なんて誰も望んでいないのにね。