トライアル雇用の悪用

トライアル雇用とはハローワークが実施している制度で厳しい雇用状況の中で、少しでも正社員として採用されやすいようにと導入された制度です。一定の成果は上がっているようですが、反面、厳しい雇用状況の中でワラにもすがる思いでこのトライアル雇用を利用した人を奈落のそこに突き落とすかのような問題も発生しています。この制度を利用する企業側のモラルが問われると同時に大きな落とし穴のあるこの制度の見直しが必要なのかもしれません。

勘のいい人ならお気づきかもしれませんが、この奨励金が問題を起こしているのです。つまり、このトライアル雇用を利用すれば月5万円ずつ、最大で15万円の奨励金をを受け取る事ができるので、トライアル雇用されている人を実際には極端に安く働かせる事ができるのです。これは雇う側の負担を軽減して、求職者が正社員として採用されるためのきっかけを作るというトライアル雇用の本来の制度趣旨なのですが、これを悪用して最初から本採用する気がないにも関わらず、トライアル雇用を実施し、雇われた人がどれだけ努力しても、どれほどの成果を挙げたとしても期間満了時に予定通り解雇する、これを繰り返し行っている企業が存在するのです。わずか3ヵ月で解雇されるという職歴がついてしまった人はその後、更に正社員となる事が難しくなります、それ以前に非正社員としても採用される事が難しくなるでしょう。書類選考で3ヶ月での短期離職者が不利でない訳がありませんし、面接を受ける事が出来たとしても必ずその短期離職の理由を問われるはずです。その時に、自分はこれだけがんばったとか、これだけの成果を挙げたにも関わらず理不尽にも解雇されたと説明してそれが通用するでしょうか?面接官はこの人は自分の非を認めない人だ、などと思うのではないでしょうか。こうなると求職者を救うための制度が求職者を更に苦しめる結果を招いていると言わざるを得ません。もちろんそういう非人道的な企業ばかりではなく、このトライアル制度を正しく利用している企業も多く存在しますが、もし、不運にもこの制度を悪用する企業に当たってしまったら・・・・・。安易には利用しないほうが賢明かもしれません。この制度を利用しようとお考えの方は十分に考えてから利用するかしないかを判断してください。

『企業は巧妙に人材をフレキシブルにする。』名言です。