共産陣営の崩壊と日本経済の崩壊

10年前は総医療費の25%を企業が負担していました。それが今は20%しか負担していない。その5%をどこが負担したかといえば,地方自治体と患者さんです。
厚労省のある局長の話では,最近は社会福祉政策などと言っても経済界には相手にされないそうです。そんなこと言ったら国際競争に負ける,帰れと蹴飛ばされかねないと。経団連と日経連が日本経団連に統合されましたが,かつて日経連にいた社会福祉政策と社会労働政策をする人がいなくなってしまい,事務局もなくなってしまったそうです。企業が不況下で会社が生き残るためにリストラと国際競争に打ち勝たなければならないという口実のもとに,社会的責任をどんどん放棄しているのです。
理由は簡単です。1991年にソ連共産党が崩壊して世界は変わったんです。これまで企業が社会保障制度や社会福祉制度を一定程度担ってきたのは,共産主義社会主義を防ぐためだったのです。そのためには,労働者や国民に少し富を分けてあげないといけないと。それが本音にあったのです。かつて日本社会党が言ったことを3年後に自由民主党がやって,社会保障制度とか最低賃金制度だとか時短だとかやったのは,単に社会党が勝たないためにやったのです。
だから,ソ連共産党が崩壊して革命が起こる心配がなくなった今は,経済がグローバル化し,一方BRICsの経済の台頭もあり,儲けた金をもう貧乏な労働者に分けてあげる必要がなくなったのです。個人の労働分配率は下がりっぱなしです。いくら労働者や貧乏人を虐めまくってもかまわなくなった。だから私は,資本主義は「先祖帰り」したと思っています。グローバリゼーションという名の元に,18〜19世紀の冷酷な金儲けの権化みたいな資本主義に戻ってきたと思っています。昔の帝国主義,人を殺しても物を取りさえすればいい,植民地にしてその国の富を奪ってくればいい,そういう本質がむき出しになってきたと私は思っています。
ですから,会社が儲けても,もう労働者には分配しませんよ。会社は景気がいいけれど給料は増えない。国民所得も増えない,だから消費も伸びない。「実感なき景気回復」です。その分が株式の配当に行ってしまうのです。株主配当は半期で2兆円を超えて史上最高になったそうです。これはもうアメリカ型ですよ。「会社は株主のもの」という思想です。この考えのもとでは,人は会社の付属品として人身売買される商品,部品になり下がったのです。
簡単に言えばこの10年間で国民は3兆1000億円の増税になり,企業は1兆1000億の減税になったのです。昔は企業に勤めている人も利益にあずかれたが,今は経営者や株主に利益が集中してしまっています。小泉政権下での労働法の規制緩和の結果,会社共同体が正社員を440万人もクビ切って,正社員の給与は450万円です。派遣労働者は平均200万円。パートの労働者に至っては110万円です。パートと非正規社員は660万人増えて,4人に1人は非正規社員です。──日本の社会は崩壊しつつありますよ。


http://www.jimisun.com/sinsou.htm

91年のソ連が崩壊して共産党陣営が崩壊。アメリカに敵対する勢力がなくなったことと、日本のバブル経済が破裂したことは関係あるに違いない。当時、中学生、高校生だった自分はそういうことにうすうすと気がついていた。公立中学、都立高校から今の卒業大学に入った。やはり私立の中高一貫校に比べ周囲のレベルも授業の難易度も低く受験では相当不利だったように思う。両親は都立全盛の時代で昔は都立に行けなかった人が私立の高校に行くと言うイメージだったらしいが、ご存知のとおり今は異なる。
昨今進めている法科大学院制度だって