rod stewart

ロッド・スチュワートを好きなように非難するがいい。彼は何年間も、女たらし、過去の人、派手派手しい虚飾のロックの先駆者と呼ばれてきた。しかし、彼がザ・グレイト・アメリカン・ソングブック・シリーズで常に証明してきたように、威厳というコンセプトは彼に失われてはいない。結局、ヒョウ柄のレオタードでステージを跳ね回りながら魅惑的なザラザラした声という並ぶ者のない天与の資質を臆面もなく見せびらかしていた時期があったのは事実で、そして彼はそこをもう通り過ぎたのだ。だが、彼が絶頂期を過ぎたかというのは、また別の話である。クライヴ・デイヴィスがプロデュースしたこの4つ目のインスタレーションアルバムで、スチュワートはまたもその住所録をすばらしく活用した。彼の作品が好きだというダイアナ・ロスは、スパイクヘアのパートナーの納得がいくよう期待どおりに姿を現し、オープニングの「I've Got a Crush On You」(邦題「アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」)でぴったりと寄り添う。第一線は退いたとはいえその力強い声は健在のチャカ・カーンは「You Send Me」(邦題「ユー・センド・ミー」)に、エルトン卿は最近のバラード歌手としての才能を棚上げして騒々しく駆け抜ける「Makin' Whoopee」(邦題「メイキン・ウーピー」)に参加。幾人かの看板演奏家もロッドの呼びかけに応じた。デイヴ・コズは「Nevertheless」(邦題「ネヴァーザレス」)でサックスを吹き鳴らし、トランペッターのクリス・ボッティとロイ・ハーグルーヴもそれぞれ「I Wish You Love」(邦題「アイ・ウィッシュ・ユー・ラヴ」)「My One and Only Love」と(邦題「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」)を熱く盛り上げる。しかし、以前のディスク同様、ロッドが特に人をひきつけるのは、彼がひとりでスポットライトを浴びている時だ。ぴったりの気分で聴く「My Funny Valentine」(邦題「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」)は、もうほかのアーティストが歌うのを聴きたいとは思わなくさせるだろう。このアルバムのためにサテンのシャツから引退したことはスチュワートのこれまでとった動きの中で一番賢明なものだ。(Tammy La Gorce, Amazon.com