シリコンバレー時事】米アップルの前最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ジョブズ会長が5日、死去した。ソフト販売の人気システムを組み合わせ、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」に次ぐヒット製品の多機能携帯端末「iPadアイパッド)」を世に送り出した「カリスマ経営者」を失い、アップルの快進撃にも黄信号がともった。
 8月24日、「職責を果たせなくなった」と辞任。末期の膵臓(すいぞう)がんが進行していることをうかがわせていた。それからわずか1カ月強での死去。クック新CEOが前日、新機種「アイフォーン4S」のお披露目を行ったのを見届けるかのようなタイミングだった。
 しかし、アイフォーン4Sに関しては、「新機軸に乏しい」(アナリスト)と受け止められ、アップル株は売り込まれた。チーム経営を掲げたクック新体制の出はなはくじかれ、ジョブズ氏亡き後、IT業界は「戦国時代」に突入することを予感させた。
 世界的な景気減速懸念が強まる中、数少ない成長分野と期待される多機能携帯市場。ただ、スマートフォンタブレット型端末ではインターネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用した韓国のサムスン電子が猛追。携帯電話機世界最大手のフィンランドノキアと連携して巻き返しを図るマイクロソフトは、4年後の2015年、専用OS市場でシェア約2割を獲得し、アップルを抜き、グーグルに次ぐ地位を占めるとの予測もある。