硫化水素に心不全予防効果、細胞の老化抑える

読売新聞(ヨミドクター) 7月21日(土)11時52分配信

 火山ガスなどに含まれる硫化水素が心臓の細胞の老化を抑え、心筋梗塞の悪化を防ぐ働きがあることを、九州大、熊本大などの研究グループが突き止め、20日発表した。

 心不全を予防する治療薬の開発につながる可能性があり、今回の研究成果は米科学雑誌「ネイチャー・ケミカルバイオロジー」電子版に掲載された。

 心臓の血管が詰まるなどして心筋梗塞を発症すると心臓内に大量の活性酸素が発生し、心不全につながることは知られていたが、その具体的なメカニズムはわかっていなかった。

 西田基宏・九州大准教授(薬理学)らの研究グループは今回、マウスを人工的に心筋梗塞の状態にして心臓内の変化を分子レベルで観察。その結果、心臓内で大量に発生した活性酸素が細胞内の核酸と反応し、新たな酸化物質を生成。これが、細胞を老化させるたんぱく質「H―Ras」を活性化していたことが判明した。
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