合格に必要な学習時間とは

Q.今度、初めて受験します。先輩の合格体験談や体験記をいろいろ聞いたり読んだりしました。一方で、せいぜい1日4〜5時間くらいしか勉強しなかったとか、遅く(晩秋、年明け、早春など)から勉強始めたとか言う人がいます。他方で、1日10時間以上勉強したと言う人もいます。どちらが、真実を語っているのでしょうか? 合格体験談・体験記を見聞するときのコツを教えて下さい。
A.せいぜい1日4〜5時間くらいしか勉強しなかったとか、遅くから勉強始めたとか言う人をA君(さん)タイプの合格者と名付けます。このAタイプの合格者は、一部真実を語っているにすぎません。確かに、勉強の初期は、せいぜい1日4〜5時間くらいしか勉強しなかったかもしれません。また、本格的に勉強し始めたのは、遅くからであるかもしれません。しかし、2年生から勉強会を組んでいたり、予備校の講座に出て先生に夜遅くまで質問責めにしていたり、いつも時間外答案を出して事務局に迷惑をかけていたという人も少なくありません(このAタイプの発言は事情を知る関係者には不愉快極まりないものです)。しかし、本格的な勉強開始以降は1日8時間以上は勉強しているはずです。したがって、A君タイプの言うことを真に受けると、学力不足で必ず失敗します。
 他方、1日10時間以上勉強したと言う人をB君(さん)タイプの合格者と名付けます。このBタイプの合格者も、一部真実を語っているにすぎません。確かに、直前期には1日10時間以上勉強したかもしれません。しかし、夏休みは遊んでいたり、秋頃はせいぜい1日4〜5時間くらいしか勉強しなかったりで、年明けから勉強時間を増やし、直前期に1日10時間以上勉強したケースが多いのです。したがって、Bタイプの言うことを真に受けると、早い時期に体力を消耗してしまい、模試ではいい成績をとっても、本番では失敗するケースも少なくありません(いわゆる「番狂わせ」)。
 AとBは、一見対極にあるように見えますが、本質は同じです。Aは「いかに自分は頭がいいか」を、Bは「いかに自分には集中力があるか」を自慢したいだけです(ただ、やるべき勉強は同じようにやっている点には注意してください)。
 実は、信頼の置けるのは、自己の体験を淡々と地味に語ったり、書いているC君(さん)タイプの合格者です。派手さはありませんが、確実にC君(さん)の言うことを実行すれば、合格に近づきます。「私でよければ」という感じの、やや控えめな合格者の言うことは、最も信頼できます。
 しかし、合格者によっては、一般向けにはA君(さん)タイプかB君(さん)タイプ、親しい友人や後輩にはC君(さん)タイプと使い分ける人もいます(二重の基準論、ダブル・スタンダード)。
 まず、予備校・講師・合格者すべてについて言えますが、誰が真実を語るか、何が真実か、を見抜くことが重要です。次に、少しがんばれば自分にもできることは、すぐに実行することです。(渡辺)