だけどさっさと見切りをつけるべきだったと思うよ

串岡弘昭さんは来年定年を迎える58歳。30年間一度も昇進していない。月給は新入社員と同じ程度。30年間で購入したスーツは1着のみ。家族旅行には一度も行ったことはなく、2人の子供の教育費は妻の親に頼らざるを得なかった。

トナミ運輸の営業マンだった串岡さんは、入社5年目のときに運送業界の裏の実態を内部告発した。石油ショックで揺れる当時の運送業界は過当競争を避け、陰で高い料金を設定し違法な利益を上げていた。いわゆる闇カルテルだ。
上司への訴えが無視された串岡さんは、新聞社や公正取引委員会東京地検特捜部などに情報を持ち込んだ。
そして1975年、運送業界は闇カルテルの破棄公告を出した。

誰が情報を漏らしたのか。業界は騒然とした。告発したのは自分だと名乗り出た串岡さんに会社は突然の転勤を命じた。第一線の営業マンから遠く離れた研修所へ。四畳半の一室に押し込められ、他の社員からは隔離された。空き地の草むしりが、会社が16年余りに渡って串岡さんに与えた仕事だった。会社は退職を迫ったが、残って闘う決心をした。「こういう形で辞めさせられることは絶対あってはいけない。徹底的に闘わなきゃならんという意志がより強くなりました」と串岡さんは言う。

串岡さんは2001年1月、損害賠償と謝罪を求め裁判を起こした。裁判を通じて会社側は「嫌がらせや報復はなかった」と主張している。裁判所の2度の和解勧告を串岡さんは拒否した。
「こういう処遇をしたら会社自身も信用を失うんだという形を世の中の人に見てもらおうということですね。そうしないと企業は反省しないんじゃないか」
そして2005年2月23日。判決の朝、串岡さんはたった一着だけのスーツを着て裁判所に向かった。

判決は会社側に約1360万円の支払いを命じた。
富山地裁は、内部告発は正当な行為で法的保護に値するとして、会社側の人事が報復であると認定した。
「良心に基づいて内部告発する人にとって判決でも守られるという意味を持ち、非常な意義があった」と串岡さんは語った。

自分も不払い残業労働組合を通して内部告発し、その元上司*1から無視、冷遇、キーボードを叩く音がうるさいなどと言われる嫌がらせを受けていたが、草むしりを16年間とは・・・。オレだったら然るべき所に訴えでて、あとはさっさと見切りをつけて辞めるね。時間の無駄だし。この人もそんな会社と戦っているより、よそに行ったほうが収入的にも、人生をトータルに見てもはるかにマシな人生を送ったのでは?と思えてしまう。まぁ各人の考えだけど。だけど30年間一度も昇進していないというのも凄い話だな。ずっと窓際族。恐ろしい・・・。

*1:異動により離れた