「実感ない」市民ため息 景気回復 京滋の声

 「実感がない」「信じられない」―。政府が月例経済報告で景気拡大が戦後最長になったと発表した22日、京滋の市民の間には疑問や不満の声が広がった。これまで1番長かった「いざなぎ景気」を抜いたと言われても、経済成長率は当時の4分の1にも満たず、収入はむしろ減っている人もいるほど。大企業ばかりが潤って雇用や賃金には薄日も差さず、「格差社会」が現実のものになる中で、見かけ倒しの「最長景気」の実態が浮き彫りになった形だ。
 京都市東山区古川町商店街で総菜店を経営する脇勝敏さん(63)は「昨年から売り上げが2−3割減っている」と、景気拡大の実感のなさにため息をついた。40年間続く店の3代目。スーパーやコンビニが台頭し、商業環境も厳しくなるばかりだ。師走もすぐそこでおせち総菜の予約時期に入るが、「消費者の財布のひもは固く、売れ行きが良くなるとは思えない」と話した。
 山科区の主婦小松世梨子さん(52)は「日々の生活で景気が良くなっている実感はなく、ピンとこない」と言う。最近、知り合いの何人かが家を買ったと聞いたり、家の売り物件チラシが郵便ポストに入っているのを目にする程度といい、「一部で景気拡大の恩恵を受けている人がいるのかなとも思うが」と半信半疑の様子。
 西京区の会社員田中慎司さん(39)は「景気拡大が長いといっても、浮かれた気分にはなれない」と厳しい見方を示す。電子部品の営業職で、収入は「一時期のように減ることはなくなった」が、業務量は確実に増えている。「会社の視点から見れば景気は良いかもしれないが、生活のゆとりや豊かさにはほど遠いのが現状」と嘆いた。
 IT(情報技術)ベンチャー契約社員大津市内の事務所で残業中の山本輝暁さん(26)=大津市三井寺=は「来月末で契約が切れるが、契約を更新してもらえるか心配」と打ち明ける。
 IT関係の専門学校卒業後、いろんな企業の就職試験を受けたが、正社員では採用されなかった。郵便局やコンビニでアルバイトを続け、半年ほど前から今の会社で働いている。「企業は即戦力ばかり求める。もっと社内で、人材を育てることに力を入れてほしい」と話した。
京都新聞) - 11月23日10時57分更新

最後の一文が特に気になった。企業にゆとりがなくなったということの証拠なのだろうけど、一度も社会に出たことがない学生に対して即戦力や能力ばかり儲けるのはいかがかと思う。非常に経営者や役員たちに有利な考えであって、従業員を使い捨てにしているだけなのでは?