「官民」などへの分断攻撃許さぬ

あらゆる分断攻撃が激しさを増している。官と民の分断、正規と非正規の分断等である。マスコミも口裏を合わせたように、世論をあおりはじめた。「民間が合併やリストラで賃金カット、大量解雇の痛みを受けているのだから、公務員も受けて当然」というものだ。だが、これは官民の労働者分断の常套手段である。確かに、社保庁問題や岐阜県庁の裏金問題などは猛省し改革すべきである。
 しかし、そもそも「民間の痛み」は、なぜ生まれたのか。5年半にも及ぶ小泉構造改革による格差拡大政策に他ならない。民間給与実態調査によれば、2000年と2004年では、200万円以下の給与所得者数の割合は17ポイントも増加している。また、貯蓄を保有しない世帯の割合も7.1ポイント増加している。責任の所在を追及せず、労働者にそのつけを転嫁するやり方は許せない。
 一方、正規労働者と非正規労働者の分断にも拍車がかかってきた。厚生労働省が検討している、労働契約法制では、①労働組合とは本質的に異なる労使委員会を設け、労働条件の決定・変更の協議や就業規則の変更の判断など重要な機能を担わせる②解雇の金銭解決制度を設け、解雇無効の判決が出ても、使用者が解決金を払えば解雇できる③雇用継続型契約変更制を設け、使用者が労働者に「労働条件の変更か解雇か」を選択させる④「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入により、労働時間の原則を骨抜きにし、長時間労働を助長する――など、正規労働者攻撃は明白である。
 その一方で、非正規労働者に対しては、小泉構造改革がもたらした格差を埋めるべく、非正規の正規化や同一労働・同一賃金など“再チャレンジ”の名の下の保護政策が打ち出されている。格差是正には連合も真剣に取り組んでおり歓迎すべきだが、その動機は不純である。
 憲法改正をもくろむ安倍政権は、テロとの戦い北朝鮮問題などを利用し国民総右傾化に向け、その論議と手続きを容易にする観点から保守層の大同団結を進めていると想定できる。その際、組織された労働者や労働組合の反対は当然激しい。官と民の分断、正規と非正規の分断による無党派層の取り込みにより、安倍政権は自らの政治信条を貫こうとしているとみるべきだろう。来夏の参議院選挙は負けられない戦いである。

ほほぅ。という内容でしたな。