睡眠薬マイスリーの副作用

米国の薬局で最も処方されている睡眠薬「アンビエン」(日本名マイスリー)を服用すると、睡眠中に車を運転しようとしたり、食事をするなど異常な行動をひき起こす危険性があることが、米食品医薬品局(FDA)の報告で分かった。米国では不眠症に悩む人が増加し、睡眠薬はテレビ広告で積極的に宣伝されているが、FDAはアンビエンを含む13種類の睡眠薬について危険な症例を患者に周知させるよう製薬会社に求めた。

 FDAによると、異常行動は、睡眠時遊行症(夢遊病)の一種とみられ、非常にまれだが、睡眠中に起きあがって車を運転する▽夜中に過食する▽電話をかける▽インターネットで買い物する−などの報告があった。いずれも本人には全く記憶がなかった。
 路上でパジャマ姿のまま逮捕されて初めて目を覚ます「睡眠ドライバー」もいた。飲酒前後に薬を服用すると、異常が発生する確率が高くなるという。
 FDAに報告されたこうした異常行動の多くが「アンビエン」の服用と関連していることも分かった。この薬は仏サノフィ・アベンティス社が開発し世界約100カ国で販売されている。

 昨年5月には、民主党のパトリック・ケネディ下院議員の車が、国会議事堂の外のさくに衝突する事故が発生。本人は「アンビエンの服用後で、記憶がなかった」と訴えたという。
 米国では、昨年の睡眠薬の売り上げが2000年に比べ60%も増加。テレビでの処方薬の広告が影響しているとの見方も出ている。(ワシントン 渡辺浩生)