ザード
不慮の死を遂げた「ZARD」ボーカル、坂井泉水さん(40)。若者から中高年まで世代を
越え、その澄んだ歌声に乗せて勇気と生きるメッセージを伝えてきた。
ミリオンセラーを連発し、日本の音楽シーンを代表するひとりでもあった。
ナゾの多い突然過ぎる死に、衝撃の波紋が広がっている。昨年10月、デビュー15周年を記念して発売された「ゴールデンベスト」は、オリコンの
アルバムチャート初登場1位となるミリオンセラーに輝いた。
その制作にかかわった音楽関係者は「もともと入院したのは精神的なことがあったと
聞いている。1カ月以上前に会った時は、元気そうだった。もとから細い人だから見た目と
しては特に変わったところはなかった。信じられない」と急死に驚きを隠せない。
また、「メディアで見る姿は静止しているものが多いせいか、おとなしいイメージが強いが、
実際は音楽好きの明るいお姉ちゃんという感じ。(ミリオンセラーもあり)仕事はしなくても
印税で食べていける状態。仕事での悩みではなく、他に問題があったのだろう」と話している。密葬は近親者のみで執り行われるが、親しい音楽関係者でさえ参列は丁重に断られた
といい、衝撃の大きさを物語っている。東京都町田市内にある坂井さんの実家は、東急田園都市線つくし野駅から徒歩3分。
高級住宅街にあってもひときわ目を引くれんが造りの3階建てだが、カーテンが閉まり、
ガレージも閉まったままで、ひっそりと静まり返っていた。
インターフォンを鳴らすと、親族とみられるグレーのスーツ姿の50代とみられる男性が玄関
から姿を見せ、「こういうときなので、お引き取り願います」と手を合わせて頭を下げた。坂井さんが見つかったのは、慶応大学病院の10階建て新棟隣に位置する1号棟。
同棟は、新棟と棟続きになっている5階建てで、坂井さんが事故に遭ったのは同棟の
先端にあるスロープ状の階段。
坂井さんは26日早朝、日課の散歩から自分の病室に戻る途中、前日の雨で濡れた手すりに
腰掛けていて地面に落下し、頭を強く打ったとされる。手すりは1メートル前後で胸の位置
ほどの高さだった。