ある行政書士の言葉

ある頃から中学生の子どもが学校に行きたがらなくなった。あんなに楽しくみんなと遊んでいたのに・・・・。帰って来ると部屋に引きこもったまま、食事にもあまり出てこなくなった。親が心配して学校の様子を聞いても、めんどくさがってかあまりはっきりした答えをしない。最近よく耳にするいじめを受けたのではないかと子どもに聞いてみたが、子どもはそんなことはないと言い切る。学校に問い合わせても、先生は煮え切らない対応で、早く学校に来るようにしてくださいなどと励ましてはくれる。
子どもの不登校は日を追うごとに強くなり、決定的なものとなった。親や親戚が入れ替わり立ち代り子どもを励まし、ようやくその気にさせて登校させるが、半日で帰ってきて、激しく荒れる。物を投げつけ壊す。
精神科に通院させるが、一向に改善しない。たくさん薬を飲んでいるが、現状維持がやっとで、登校などという次元の問題でない。

事案はあえて変形させていますが、こういう相談を受けたときもっとも私がいらだつのは、なぜ子どもの言うことを鵜呑みにするのか、ということです。これほど急激な変化が生じている以上、外的な要因がないはずがなく、そうすればいじめが原因であろうことはすぐに見当がつかねばならないことだと思うのです。子どもは決していじめを受けても、受けたとは言いません。親が気づいてやるほかないのです。

ところが、そう話すと親はたいへんに不機嫌になり、また子どもも同様にひどく不安定となりました。親は子どもがそういってるのだから間違いないと言い、そんなことを言うから余計に子どもが荒れると言って中断となってしまったのです。

私のほうは実はその子どもが数人の同級生らに一言の会話もないまま執拗に校内であとをつけまわされるなどされており、一連の異常な嫌がらせを受けていることを把握していましたので、教育委員会などを通し、まず加害行為をおこなっている生徒らを制圧しなければ最悪の状況を招くと説得をおこなったのです。
しかし親は聞く耳をもたず、そんな馬鹿な事があるはずない、これは病気なんだと言い続けました。

そうして地獄のような数年が過ぎ去り、ようやくその子どもは中学時代のいじめを告白しました。


http://www18.ocn.ne.jp/~miyake-o/newpage555.htm