俺の中学時代も暗かった

その頃私は中学に勤めていた。といっても教師ではない。図書館司書としてだ。
自分の中学時代も暗かったが、中学校という所は、本当に独特の雰囲気である
あの嫌な感じ・・・私は今でも、一番なりたくない職業はと聞かれたら、迷わず中学教師と答えるだろう。

最近国会で、司書教諭が発令されたらしいが、学校図書館司書というのは
ほとんどの人が無資格で、それも何年も悪条件の中で働いている人ばかりだ。
しかも立場が保障されていない、給与も学校や地域でまちまちだし、パート扱いの人もかなりいた。
そして、司書教諭が発令されたら「あ〜あ、私達どうなっちゃうの?みんなクビなの?」という状態だった。
私が働いていた時の話だから、今はどうか知らないが・・・。

そんな将来性のない仕事で、いつまで働かなくちゃいけないのかな?
はっきり言って、もう辞めたかった。
しかも中学校だ。生徒も怖いし、先生も難しい人ばかり

そんなある日に事件は起きた。

当時、酒鬼薔薇事件があった頃で、サバイバルナイフの事件が全国の中学高校で流行っていた。
その生徒はおもむろに私にサバイバルナイフを突きつけてこう言った。
「殺すぞ」
サバイバルナイフ・・・見たことあります?めっちゃくちゃ迫力!
その時は笑って誤魔化したが、次の日、怖くてとても学校へ行けなかった。
学校に電話して、泣きながら「生徒にナイフ突きつけられた!私もう学校へ行けない!」と言ってしまった。

私は知らなかったが、その後全校で大騒ぎになってしまったらしい。
その生徒は生徒指導の先生に呼び出され、ナイフを取り上げられた。

「もう大丈夫だから出ておいで」電話で説得されて嫌々学校へ行く。

だが、そこで待っていたのは、生徒指導のM先生からの訳の判らない説教だった。
「今あなたがナイフのことを理由に学校を辞めたら、問題の生徒が学校へ来られなくなる」
「大切なのは、生徒の人権を守ることだ」「生徒は友だちじゃない、あまり仲良くなろうとしないこと」

あの、先生、人権って、私の人権はどうなるのでしょうか?
そんな反論したいことが、ノドから出てこない。

学校ってこういう所・・・諦めに似た気持ちだけが私を支配していった。