【大人のなり方】資格 目的のない安易な取得は×

若い人たちの間で資格取得がちょっとしたブームになっている。入社3年目の人たちを対象にした研修の機会に、資格取得の目的(理由)を聞いてみた。だいたい次の3つに要約されたが、実際に取る取らないは別にして、みなさんが抱いているイメージはどれに近いだろうか。

 (1)資格があれば独立して仕事ができる。

 (2)資格があれば、転職に有利で、ステップアップにつながる。

 (3)資格を持っていると何となく安心できる。

 (1)について言えば、たとえ最難関とされる国家資格であっても、プロとして一本立ちすることは容易ではない。具体的なビジネスプランも考える必要がある。

 では(2)はどうか。人事担当者に聞くと、資格を持っていても、通常の転職で有利になるようなことはほとんどないという。むしろどのような仕事をしてきたかが重要なのだ。

 資格マニアと呼ばれる人に多いのが(3)だ。次々に資格を取得したり、検定に挑戦したりするが、目的が明確になっていないので、せっかくの努力の成果が生きない。

 資格を取るなと言っているわけではない。資格があれば何とかなるという考えは、安易に過ぎる。特に会社に就職、転職しようとする場合、資格の効用はあまりないと思っておいた方がいい。組織の中で評価されるのは仕事への取り組みの姿勢やコミュニケーション能力なのだ。会社勤めが前提なら、今やっている、あるいはやろうとしている仕事の周辺の資格に挑戦するとよい。実務における取り組み内容を検証したり、体系化したりするのに役立つ。

(日本監督士協会常任理事 佐藤方俊)