7月21日の夜行で秋葉原から上高地まで

いやいや想像以上に危うかった槍ヶ岳
無事に生還してまいりました。半分、遭難しかけましたよ。
これは言葉のあやではなく、そうなっていても不思議ではない秘境でした。
足を踏み外したらまっさかさま。残雪残るではなく、ただの流れ出る氷河の上(雪渓と言うらしい)をクレパスに怯えながらアイゼンなしで上る恐怖。北海道かカナダで熊がサケを取っているような凄まじい岩がごろごろの水量が多く暴れる沢を横切り。
槍ヶ岳の山荘が見えてから到着するまでの長かったこと。
山荘は大勢の人で賑わっていたこと。途中抜きつ抜かれつつ一緒に上った30歳の2人連れと同じ部屋になったこと。相部屋の人は静かだったこと。
夜は20時頃寝てしまったこと。3時半にトイレに起きたときには既に朝のムードだったこと。
4時半に日の出を見たこと。5時になり30分かけて鎖場と梯子を使い、ヤリに立ったこと。
食事を取ったのが最後の客だったこと。飯は美味かったこと。
小屋を出たのが7時半とちょい遅かったこと。行きの上高地ルートより下りの新穂高ルートのほうがはるかに地獄だったこと。
行きと逆で、樹林帯までは比較的容易で、そこから先が難行だったこと。ハエが最初から最後まで顔にまとわりついて、夜ホテルで寝るときに羽音が耳にこびりついて寝付けなかったこと。
森林地帯は森林地帯で岩がゴロゴロでアップダウンが激しくひざをやられ、5時間半のコースを丸12時間かけて下りてきたり。夕方17時頃になって車が通る林道に出てほっとしたこと。林野省の治水工事の車が通るのを見てほっとしたこと。
電柱があったりアスファルトの地面になったりと段々と条件が良くなっていったこと。
どんなオンボロ旅館でもいいやと覚悟。膝が痛く林野省の車を見たところから2時間かけロープウェイ近くの”ホテル穂高”という政府認定のリッチなホテルに泊まれたこと。いやー、自動ドア見てほっとしたもん。
これらがすべてたった2日間の間に起こったことなのですね。

色々と写真を撮ってきたけど、ほんとにやばかったところは写真を撮る余裕すらなく、リアリティが感じられない結果となっています。これらの写真の10倍は危険と考えてください。
槍ヶ岳山頂から新穂高温泉まで14.4キロ。これを12時間かけて下りて来ているから、なんと時速1キロで歩いていることに。どうりで通りすがりのおじさんに、朝7時半に山頂を出てきた割には遅いなぁと言われるわけだ。


槍ヶ岳山荘の廊下。雰囲気としてはこんな感じです。

↑談話室。ここでNHKのテレビを見た。

↑階段を上ったところ。食堂は地下室。宿泊したところは2階。