まさちゃん

母親の実家は埼玉県鴻巣市の駅前にあったお寿司屋さんであった。
お店の名前は冨久茂登(フクモト)。
法事などの際によく使われる料亭風のすし屋であった。広いお座敷が1階と2階にあり、商売は繁盛しとても豊かなイメージだった。
使用人というかパートで働いているおばあちゃん達もたくさんいた。
その中にまさちゃんという人がいた。一番の古参だそうで、子供のうちから子守などして苦労しっぱなしだったらしい。自分も何となくこの人だろうなと顔をうっすらと覚えている。子供が2人おり、製薬会社に勤める兄夫婦の家に同居していたらしいのだが、妻と相性が悪く孫がおばあちゃんの部屋に近づこうとすると、おばあちゃんのところには行くんじゃないよ!と怒鳴りつけていたらしい。こんな関係でも我慢して暮らしていたらしいのだが、この長男が朝トイレで気張っていて高血圧で死んでしまってからは関係が悪く、一緒に暮らすことが出来なくなったらしい。その後、独身の弟の元に引き取られたらしい。この弟が以前下着泥棒で捕まったことがあるという人。