卒業証明書の偽造

履歴書は、本人が自らの履歴を書くのだから、一般的には正しいものと誰しもが思っている。ところが実際は、有職者の履歴書には、全般の30%強に詐称が認められる。これは日本ばかりで無くアメリカに於いてもほぼ同様の数字と云われる。

 就職の際の機会均等が叫ばれると同時に、選考も公正に行わなければ成らないのは当然の事で、そこに差別的な事があってはならない。と云う事は、履歴書は正しくないと、公正な選考はできない。

 従って、提出された履歴が正しいのか否か、職務経歴書が正しいのか否かは、当然確認して、間違っていれば正して貰わなければならない。その為に、企業は私どもに、応募者の履歴や職務経歴の確認を依頼するのである。

 ところが、最近は個人情報保護法の壁が厚く、学歴も職歴も中々簡単には確認出来ない。学校は何処に限らず卒業確認には応じない。企業も大半が職歴確認に応じない。全て、個人情報保護法を盾にしてである。従って、調査員の苦労は並大抵でない。依頼企業は「お宅、プロでしょう?」のひと言で、「判りませんでした・・」では通らない。

 嘘の様な本当の話であるが、履歴書に書かれた住所に住んでいない。生年月日が違う。家族も妻有りとしているが実際は居ない。大卒とあるが実際は高校中退。公務員歴20年としているが実際は半年。こんなのは決して珍しい事ではない。しかし、筆記試験や面接で履歴書の詐称など判りようがない。

 氏名、年齢、住所を確認するには住民票が必要不可欠である。結婚の有無や親子関係を確認するには戸籍が必要不可欠である。しかし、住民票も戸籍も第三者の取得は殆ど不可能になってきている。

 非常に恐ろしい話しであるが、大学の卒業証明書偽造、在職証明書の偽造、住民票の偽造、免許書の偽造などが実際には相当数行われている。ところが、今の社会システムでは、偽造か否かを確認する術が閉ざされている。

 従って、この事を知っている詐欺師などのワルは、平気で詐称や偽造を行い、仕事のお膳立てをするのである。

 一般の人はこんな事は思いもしないでしょうが、我々調査業者はイヤと云う程、この現実を見せられている。しかし、知ってか知らずか行政官は聞く耳を持たず、できるだけ調査を規制し、ワルが喜ぶ社会形成に力を注いでいるように思えてならない。