物静かにしているほうが好き

私は、とある女子高に通っていた。そこは、普通科コースと情報処理科コースがあり、私は情報処理科だった。で、その情報処理科ってのが1クラスしかないから、3年間ずーーーーっと同じ面子で学校生活を送らなければならなかった。

一人の同級生がいた。物静かで、口下手で、中学の頃から、イジメの的になっていたらしい。彼女と同じ中学だったヤツがそれを吹聴して回ったもんだから、彼女はあっという間にクラスから孤立してしまった。

彼女はとても絵が上手く、私も当時はよく絵を描いていたので、何となく気になる存在であり、ぽつぽつと話したりして親しくなった。……途端、私までクラスからハブにされちまったわけである。高校でイジメなんかあんのかよ、とカルチャーショックも受けた。かなり。

だって、やってるコトが全部ガキっぽいんだよ、これが。彼女が受けていたイジメは、以下のようなこと。

体育の後、汗臭いと言われてデオドラントを数人から一気に吹きかけられたり。
誤ってバレーボールをぶつけてしまった子に『ごめん』と謝ったのに、無言でボールを壁に投げつけられたり。
私は面倒くさくてフケたのだが(既にサボり癖はついていたらしい…)、野外学習の時も膝買ったそうな。飯盒炊飯で、そっちの煙が煙たいと言われて土下座させられたり。
そのあとキャンプファイヤーの最中に、服に砂を入れられたり。
と、まぁ本当にガキンチョがやるようなことを、平気で15、6の女がやるのだ。

私は、それを黙って見ているしか出来なかった。彼女が学校を休みがちになるのを見守ることしか出来なかった。ナイフを机に突き立てて、『アイツらを殺して、私も死ぬ』と言い放ったという彼女を、私は庇えなかった。何も出来なかった。それが悔しくて、悲しくて、意気地のない自分が情けなくて、どうしようもなかった。

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