なぜ発達障害の人が「引きこもり」になりやすいのか

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では、なぜ発達障害の人が「引きこもり」になりやすいのか。星野医師は、決定的な要因として、以下の点を挙げる。

1.発達障害に気づき、受け入れ、認めているかどうか
2. 最低限の社会性を身につけているかどうか
3. 自分の特性を活かせる適職に就いているかどうか4.家族や周囲の理解と支えがあるかどうか

 つまり、本人や家族がこれらをほとんどできていないケースだと、引きこもりになるケースが多いという。

 星野医師の外来には、ADHDアスペルガー症候群で、現在「引きこもり」状態にある人は、百数十人。20歳代から40歳代が中心で、最近は50歳代の人も増えてきている。ここでも、高年齢化の状況が伺えるのだ。

 こうした発達障害のある人が進学や就職を考えるとき、「1人暮らしは避けたほうがいい」と、星野医師は指摘する。

 ADHDアスペルガー症候群の多くの人は、親元を離れて1人暮らしを始めると、身の回りのことができなくなり、ほぼ例外なく生活が破たんするからだという。

星野医師は、一般にADHD者で成功している人が多く、向いている仕事として進めるのは、次の通り。

1. 研究者、学者、中学・高校教師、塾・予備校講師など
2. 警察官、消防士、新聞・雑誌の記者、作家、ジャーナリスト、カメラマン、ディレクターなど
3. イラストレーター、スタイリスト、漫画家、画家、建築関係、コンピュータ・プログラマー、CGアニメーター、広告関係、デザイナーなど
4. 調理師、調律師、自動車整備士、歯科技工士、電気技師、図書館司書、校正など

 一方、アスペルガー症候群に合いそうな職業は、テンプル・グランディンとケイト・ダフィーの文献を引用して、次のように挙げる。

1. 建築・工学製図技術者、カメラマン、動物の訓練士、グラフィック・アーティスト、工芸家ウェブデザイナー自動車整備士、産業オートメーションのプログラマー、生物学教師など
2. コンピュータ・プログラマー、エンジニア、物理学者、化学者、音楽家・作曲家、数学教師、音楽教師など
3. ジャーナリスト、翻訳者、司書、証券アナリスト、コピー・エディター、会計士、簿記・記録管理担当者など

 もちろん、これらの職業がすべての人たちに向いているのではなく、あくまでも傾向ということである。ただ、その多くが、他人との違いを活かしたスペシャリストであるところが、とても興味深い。

 一方で、ADHDアスペルガー症候群の人たちが不向きな職業は、営業関係や接客業、人事・経理・総務関係、交通・運輸関係、飲食関係、旅行関係、金融関係、予約係や顧客窓口などだそうだ。

 高度な協調性や対人スキル、臨機応変な対応、複数の異なる要求を同時にこなさなければいけないような仕事である。

 生きづらさをなくすためには、自分の特性を活かして、どのように職業を選ぶのかを意識することも重要なのかもしれない。